京大で起きたメイロン誤投与問題について、医療関係者以外にも分かりやすく解説する

11月 23, 2019

どうも、マサです。@nishimohuri

初めて、医療ニュースについて解説している記事書きます。

先日、京都大学にてメイロンの誤投与という医療事故が起きました。

【医療事故】京大病院で薬剤の濃度を誤って投与

このニュースについて、医療関係者以外の人が見ても分かりやすい記事がなかったので、誰が見ても分かりやすいように解説していきたいと思います。

 

京大がオフィシャルに出しているプレスリリースに基づいて記事を作成しています↓
炭酸水素ナトリウム誤投与による急変死亡について

 

概要

まず、今回の事故について端的に書きます。

今回の事故は、腎機能障害、心不全で入院していた成人男性に起きました。

「投薬の際に、注射薬の炭酸水素ナトリウム(商品:メイロン)の濃度を間違えた」ことが発端です。

その後、心停止してしまい、心臓マッサージをするも胸骨の圧迫が原因で肺出血をきたします。

その出血傾向が止まらず、6日後に残念ながら死亡しました。

超大まかにざっくりと書きましたが、これが今回の事故の流れです。

この流れの間にいくつもミスがあったと言われていますが、大きなポイントは3つあります。

 

炭酸水素ナトリウムの濃度を間違えてしまったこと

②間違っていたのにも関わらず、炭酸水素ナトリウム(メイロン)投与が継続されたこと

③蘇生時の対応

 

です。

今回の事故を知る前に把握してほしいこと、そして本題である上記3点について、という流れでお話しします。

 

患者さんの背景:腎機能障害を持つ成人男性
事故の原因:炭酸水素ナトリウムの濃度が間違っていた(6.7倍も高かった)
医薬品の商品名:メイロン(炭酸水素ナトリウムと同一)

 

【事件の起こった経緯】
①炭酸水素ナトリウムの誤処方により、心停止
②心臓マッサージを行うも、胸骨が圧迫される→肺出血
③出血傾向が止まらず、6日後に死亡

造影検査の流れ

今回の事故を理解するためには、この造影検査の流れを把握しておく必要があります。

そんなに難しくないので、お読みください。

この患者さんは、腎障害が「中リスク」と判断されました。

中リスクの患者さんには、造影剤の前に輸液を行う流れになります。

本来であれば入院患者に対しては、生理食塩水を6時間投与するのが通常の流れです。

生理食塩水は、組織との親和性が高いため、組織を保護するために使われます。

しかし、今回は6時間投与する時間がなかったために炭酸水素ナトリウムを1時間投与することに決定します。

その際に、投与する炭酸水素ナトリウムを間違えた、というのが今回の事故につながりました。

 

炭酸水素ナトリウムとメイロン

それでは、今回の事故のキーとなる2つの薬「炭酸水素ナトリウム」と「メイロン」についてお話しします。

この2つの薬、呼び名は違えど両方同じ成分を使っています。

(この炭酸水素ナトリウムは「重曹」とも呼ばれます。)

 

違いは濃度。
(炭酸水素ナトリウム→1.26%  メイロン→8.4%)

本来ならば、ここで「炭酸水素ナトリウム1.26%」を選択すべきでした。

 

・腎障害中リスク患者には、6時間かけて生理食塩水を輸液する必要があった
・しかし、時間が確保できず、1時間の炭酸水素ナトリウムの投与を選択
・輸液の際に「炭酸水素ナトリウム」と「メイロン」の選択を間違えた

なぜ、炭酸水素ナトリウムの濃度を間違えてしまったか

間違えた要因についてですが、「炭酸水素ナトリウム投与についての経験不足」という要因が挙げられます。

まず、京大病院では造影CT検査の前に炭酸水素ナトリウムの投与をすることが初めてでした。

(プレスリリース2ページ目抜粋)

 

 

そして、ここからが見てほしいポイントです!

 

下記の画像が、放射線技師と担当医の会話です。

 

画像の線引きの部分を見ていただければわかる通り、炭酸水素ナトリウムの認識が放射線技師と担当医の間でずれていることが分かります。

そもそも、2人の会話を見ていて炭酸水素ナトリウムの投与に関しての知識不足が読み取れるのではないかと思います。

 

お互いが、炭酸水素ナトリウムのことを

放射線技師→重曹
担当医→メイロン

と捉えていました。

 

間違いではないのですが、結果的に炭酸水素ナトリウムではなく、メイロンが投与されてしまうという勘違いが起きたです。

 

このことから、僕はそもそもメイロンについて認知不足だったのではないかと考えました。

 

メイロン

ここで、軽くメイロンについて触れておきます。

このメイロンですが、炭酸水素ナトリウムの濃度の高さから「救命救急」で主に使われる薬です。

救命では、「アシドーシス」という病気に使われます。

 

アシドーシスとは体内の状態が「超酸性状態」になると引き起こされます。

(酸性雨って聞くとイメージ悪いですよね、あんな感じです。酸性→acid)

人間の体内は酸性とアルカリ性の調和で保たれているので、酸性状態になった体にアルカリを足して、正常に戻すのがメイロンの作用です。

 

そして、このメイロンを必要以上に投与してしまったため、体内の血液がアルカリ過多になってしまい、心停止を起こしたという流れです。

 

なぜ、間違った濃度を投与したのに継続されたのか?

今回は、炭酸水素ナトリウムが間違った濃度で投与していたのにそれが継続されていることも問題として挙げられています。

 

体に異変が起きたことに気づいた患者さんから訴えがありましたが、メイロンの投与が継続されました。

・医師の「全量投与」という指示があった

・誤投与ではなく、造影剤のアレルギー反応と考えていた

からです。

 

いやいや気づけやw

と思うかもしれませんが、造影剤を投与した際に懸念するのは「アナフィラキシーショック」です。

起きる確率は低いですが、医療の現場ではその副作用に留意して処置を考える、ということもあります。

なので、誤投与ではなく副作用の反応に気を取られていたのでは?という見方もできます。

現場でどういう連携をしていたまでかは分かりませんが。

 

 

蘇生の処置について

間違った濃度の投与が続き、やがて患者さんは心停止の状態になります。

ここで、蘇生を行うと判断した現場で心臓マッサージを開始し、幸いなことに自己心拍が再開。

しかし、その後口から大量の血があふれ出します。

患者さんが「プラザキサ」(血が固まるのを防ぐ薬)を服用していることに気づかなかったという記載があります。

その後は、中和薬が投与されたようです。

 

まとめ

では、まとめます。

今回の大きなポイントとしては3つ。

炭酸水素ナトリウムの濃度を間違えてしまったこと
②間違っていたのにも関わらず、炭酸水素ナトリウム(メイロン)投与が継続されたこと
③蘇生時、プラザキサの服用に気づいていなかった

以上が、今回の事故が起こってしまった原因です。

京大がオフィシャルに出しているプレスリリースの内容のポイントをまとめてみました。

 

 

明日は我が身

僕は今、医療従事者の一員であるMRとして活動しています。

MRは現在、販売情報提供ガイドラインに基づいた行動を強いられており、添付文書(お薬の説明書)以外のことに触れてはいけないというルールがあります。

しかし、実際の現場では「ここだけの話ですが・・・」と言って、医者に規定外の情報を届けているシーンも少なくないのではないでしょうか。

 

今回のニュースを見て、実際の医療現場に立ちはしないものの、自分自身の活動も襟を正して、間違った情報を伝えてはいけないという責任感も感じました。

 

それでは、以上です。


「現状維持を続けたら、5年後に絶対後悔する」と感じた僕は、転職を決意。

働く場所を変え、環境を自分で選びやすいコントラクトMRに転職をしました。

僕は、転職という手段を使って自ら環境を変えたことで、「人生は、自分の手で切り開く」という強い信念を持つことができました。

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